日本列島域における先史人類史の総合的復元方法の研究

科学研究費補助金(学術変革領域研究(A))および(基盤研究(B))(領域・研究代表者:山田康弘)のブログです

Anthropological Science advance online publicationに本科研の特集が掲載されました。

Anthrpological Science(人類学雑誌)の130−1に、昨年度までの科研費基盤研究(A)「考古学・人類学・文化財科学の学際的研究による縄文社会論の再構築」の特集号として合わせて5本の論考が掲載されることとなりました。

これについてはすでにAnthropological Scienceのadvance online publicationの方に掲載されています。

以下にリンクを張っておきますので、ご参照ください。

Preface to the special issue on interdisciplinary studies tackling the Jomon social structure

本特集号の序文です。

Archaeological and anthropological views of Jomon society: methods and practices

考古学と人類学のコラボレーションの方法論と実践例をレビューしています。

Ritual tooth ablation in and dentometric assessment of a newly discovered collective burial at the Hobi shell-mound site, Aichi Prefecture, Japan

風習的抜歯と歯の形態から議論が進められています。

Strontium isotope analysis on human skeletal remains from the Hobi and Ikawazu shell-mounds in Aichi Prefecture, Japan

ストロンチウム同位体分析による結果です。

Complete mitochondrial genome sequencing reveals double-buried Jomon individuals excavated from the Ikawazu shell-mound site were not in a mother–child relationship

伊川貝塚の子供と成人女性の合葬例のmtDNA解析の結果です。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ase/advpub/0/advpub_220131/_article/-char/en

保美貝塚土人骨の形態的分析結果です。

 

 

www.jstage.jst.go.jp

 

一般向けの書籍 その2

2冊目が『54のQ&Aで読みとく縄文時代』です。3/17発売予定ですが、メインタイトルが『縄文人も恋をする!?』になってますね。

 

これは私の本の読者の方、あるいは講演会などに来ていただいた方からの質問を54に整理して、書籍化したものです。

少々お話しにくいことや、なかなか難しい質問についても、今回は思い切って文章化してあります。もちろん本科研の内容も反映させています。

 

追記(2022年6月16日)

 編集時に若干混乱があり、後から入った写真・図に修正すべき点がありましたので、お知らせしておきます。もし増刷などになった場合、修正していただこうと思います。

・61頁の土器の写真:これには山梨県柳田遺跡(写真左二つ)出土土器が入っています。また、キャプションの深鉢土器は、深鉢土器です。以下のように修正します。→北関東および山梨県柳田遺跡出土の中期縄文土器・深鉢形土器

・70-71頁の編年表ですが、キャプションが「縄土器型式の大別と細別」になっていますが、山内先生は紋の字を使われますので、ここでは「縄土器」としてください。

・109頁の縄文カレンダーですが、これは歴博第1展示室に展示されている最新のものではありません。サケが春に捕れることになっています。これは間違いですので、サケが秋にとれることになっている縄文カレンダー(現在展示室に展示されているもの)に差し替えます。

・167頁の土偶のキャプションですが、これは「遮光器土偶」とすべきものです。遮光器土偶は内部が空洞になっているので、中空土偶でも間違いではないのですが、写真は明確に遮光器土偶の特徴を備えています。読者が混乱してしまいますので、ここは遮光器土偶(中空土偶・東北地方出土)とします。

 

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科研費が採択されました

ありがたいことに、来年度から3年間にわたり科研費「考古学と人類学のコラボレーションによる縄文社会復元の実践的研究」(基盤研究(B)(一般))が採択されました。今回の科研ではより対象をピンポイントに絞り込んで、研究成果を出していきたいと考えています。

シンポジウム:骨考古学による縄文社会論の構築-伊川津・保美貝塚出土例を中心に-

10月10日は日本人類学会第75回大会でした。

私たちのチームは骨考古学分科会との共催で一般シンポジウム「骨考古学による縄文社会論の構築ー伊川津・保美貝塚出土例を中心にー」を行いました。

演題は以下の通りです。

S1 山田康弘:趣旨説明・愛知県伊川貝塚・保美貝塚における墓域の様相

S2 米田 穣他:保美貝塚の盤状集骨の年代学的検討と個体埋葬の関係

S3 近藤 修・水嶋崇一郎:人骨の形質からみた保美貝塚盤状集積人骨

S4 谷畑美帆 :縄文時代の人骨に観察される骨膜炎について−保美貝塚出土例を中心として−

S5 五十嵐由里子他 :縄文時代の人口構造

S6 太田博樹・覚張隆史:ゲノム解析からみた伊川貝塚土人

S7 和久大介・太田博樹:母子合葬例と想定される合葬人骨のmtDNA分析結果

S8 日下宗一郎・斎藤努保美・伊川貝塚より出土した古人骨のストロンチウム同位体分析

S9 山田康弘 :骨考古学と縄文社会研究

 

発表者の皆様は、それぞれに興味深い研究成果を提示していただきました。また、私自身も本研究を踏まえて、下記のようなコラボレーションモデルを提示させていただきました。

 

このシンポジウムの内容はAnthropological Science(人類学雑誌)および保美貝塚報告書・研究論考編にて発表される予定です。

 

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考古学と人類学のコラボレーションモデル

 

科研費研究会・打ち合わせ

 本科研の研究会・打ち合わせを9月11日・18日の両日に行いました。参加者は、研究分担者・研究協力者の方々で、次世代を担う大学院生の方も3名ほどいらっしゃいました。

 メインの内容は、現在の進捗状況の報告と共に、10月9〜10日に開催される第75回日本人類学会大会におけるシンポジウム「骨考古学による縄文社会論の構築-伊川津・保美貝塚出土例を中心に-」のプレ発表会でした。

 

シンポジウムの内容は以下の通りです。

シンポジウム「骨考古学による縄文社会論の構築-伊川津・保美貝塚出土例を中心に-」
日時: 10月10日 9:00~12:00
オーガナイザー: 山田康弘(東京都立大学
講演予定者: 山田康弘、米田 穣(東京大学総合研究博物館)、近藤 修(東京大学)・水嶋崇一郎(聖マリアンナ医科大学)、谷畑美帆(明治大学)、五十嵐由里子(日大松戸歯学部)、太田博樹(東京大学)・覚張隆史(金沢大学)、和久大介(東京農業大学)・太田博樹(東京大学)、日下宗一郎(東海大学)・齋籐努(国立歴史民俗博物館

概要: 縄文時代の社会構造を検討するにあたっては、もはや考古学的な分析だけでなく、埋葬人骨から得ることのできる様々な情報を加味して学際的な研究を進めることが重要である。本シンポジウムでは、費基盤研究(A)「考古学・人類学・文化財科学の学際的研究による縄文社会論の再構築」の成果をもとに、愛知県田原市伊川貝塚・保美貝塚の事例を取り上げ、骨考古学的成果と今後の課題について議論を行う。

 

大会全体については下記をごらんください。

https://www.kuba.co.jp/anthropology75/