日本列島域における先史人類史の総合的復元方法の研究

科学研究費補助金(学術変革領域研究(A))および(基盤研究(B))(領域・研究代表者:山田康弘)のブログです

保美貝塚調査チームによる研究会を開催しました。

8月9日(日)に,東京大学法文1号館におきまして,保美貝塚調査チームによる研究会を行いました。

発表内容につきましては,以下の通りです。

山田康弘「保美貝塚における2014年11月の調査報告」
設楽博己「保美貝塚における盤状集骨葬の埋葬プロセス」
水嶋崇一郎「保美貝塚出土盤状集骨人骨における大腿骨の形態学的検討」
原信生「保美貝塚出土盤状集骨人骨の歯の状態」
近藤 修「保美貝塚土人骨にみられる人為的損傷について」
谷畑美帆「保美貝塚土人骨の骨病変について」
太田博樹「保美貝塚および伊川貝塚土人骨のDNA分析」
日下宗一郎「保美貝塚土人骨のSr分析」
川添和暁「保美貝塚出土骨角器・装身具の分析」
長田友也「保美貝塚出土石器・石製品について」
増山禎之「保美貝塚の現状と今後の課題」
米田 穣「保美貝塚土人骨の年代測定結果」(紙上報告)

当日は12本もの報告が行われましたが,特に盤状集骨葬がどのように形成されたかという葬法の復元の結果,複数の盤状集骨葬例がいくつも集積して大きな集骨葬例となっていたことや,被葬者の死亡時期がかなり限定的であること,抽出に成功したmtDNAの分析やSr分析の結果,これまでの考古学的な想定を越えた人の行動が判明したことなど,考古学と人類学がコラボしたことによる大きな成果が上がってきています。また,集骨に含まれていた人骨の年齢・性別についても,これまでの情報とは異なる結果が提示されるなど,いずれも興味深い発表でした。

これらのうち,いくつかにつきましてはこの秋に開催されます日本人類学会(http://www.gakkai.ne.jp/anthropology/69_annual_meeting)において発表されることになっています。

写真は研究発表の様子です。
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