日本列島域における先史人類史の総合的復元方法の研究

科学研究費補助金(学術変革領域研究(A))および(基盤研究(B))(領域・研究代表者:山田康弘)のブログです

第76回日本人類学会で発表を行いました。

 

 9月16日から19日までの日程で、京都産業会館ホールにて、第76回日本人類学会大会が開催されました。

 一般シンポジウム『ヤポネシアゲノムの5年間』の中で「岩手県蝦島貝塚出土の縄文人骨を対象とした考古学と人類学のコラボレーション」というタイトルで発表を行いました。

 内容は蝦島貝塚土人骨の年代測定をし、墓域が連続的に形成されていることを確認した上で、これまで考古学が縄文時代の社会構造を分析する際に用いてきた方法論、すなわち1)埋葬地点の近接性、2)頭位方向の共通性、3)抜歯型式の共通性、4)頭蓋形態小変異の共通性、5)同時合葬例を血縁関係者とみなす、の5点をゲノム分析によって検証するというものでした。

 分析結果は意外なもので、従来縄文社会論で想定されていた、後期以降における世帯・家族の析出については再検討が必要で、縄文時代の人々は埋葬地点を選定する際に、血縁関係性をそれほど重要視してはいなかったのではないかという仮説を出すにいたりました。

 今後事例を増やしながら、議論を重ねていきたいと思います。

 

発表時の様子です。