日本列島域における先史人類史の総合的復元方法の研究

科学研究費補助金(学術変革領域研究(A))および(基盤研究(B))(領域・研究代表者:山田康弘)のブログです

発掘調査が終了しました

保美貝塚の発掘調査がほぼ終了し、あとは埋戻し・撤収を残すのみとなりました。足かけ三年、試掘もあわせると6回にもわたる調査となりましたが、発掘面積は8㎡しかありません。取り上げ番号をつけた人骨の総数は、人骨集積墓の方だけで、1523点にもなりました。
 
今回の調査では、二連の盤状集骨葬によって上下を挟まれた人骨集積墓(多数合葬・複葬例)が1基、鹿角製腰飾りを佩用した成人男性の単独・単葬例が1例確認できました。いずれも抜歯系列は2Cであり、ここまで4I系列と区別されているとなると、その背景がどのようなものであったのか、知りたくなります。今後の課題の一つです。
 
今後は、考古学的検討に加え、形質人類学的な検討、形態の他たとえば古病理・DNA・同位体(C、N、Srなど)・歯冠計測をはじめとする各種の分析を行っていくことになります。
 
この間、田原市教育委員会をはじめとする田原市役所の方々、調査を温かい目で見守ってくださった地元の方々、趣旨にご理解いただき長期にわたって畑をお貸しくださった地権者の方など、非常に多くの方々に支えられてきました。本当にありがとうございました。
 
出土した人骨と遺物は調査・研究のため、一旦国立歴史民俗博物館他に持っていきますが、研究終了の暁には地元へ返却することになっています。調査の内容につきまして、地元の方々にお話しする機会をもちたいとかんがえています、
 
私たちの保美貝塚の調査は、今回で一区切りをつける形になりますが、その研究成果につきましては、随時お知らせしていきたいと考えています。
 
下の写真は、下部の盤上集骨の一部と、完掘後の土壙の様子です。
 
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